2018年5月14日に日経新聞のサイトでXboxをマイクロソフトが手放すのでないかという記事が出ました。
マイクロソフトが「Xbox」手放す? 4つの兆候: 日本経済新聞
これは元ネタがCBインサイツというマーケット調査やコンサルも行う会社が出したレポートの紹介になります。元ネタはこちらです。
is Microsoft going to spinoff Xbox?
真偽のほどはよくわからないですし、個人的にはそんなことはしないのでないかと思います。
じつは2013年~2014年にもXbox事業の売却を噂していた人たちがいますが、その時はCEOが社内メールで否定したことがあります。
Why hasn’t Microsoft divested its Xbox division? – Quora
考察した結果、私としては事業を手放すという選択肢はないと思います。
- 事業を手放される側のXbox に今のとことメリットはない
- ゲーム事業は他社と比べると苦戦しているのは間違いがないが、赤字事業には思えない
ただしこれからの課題は明確にあると思っています。
- ライバル製品と比較したときの差別化と高い期待を持ってもらえること
- ゲームを中心に独占的なコンテンツの創出
以下でその考察について述べていきたいと思います。
相当苦戦しているXbox 事業
PS4とSwitchがそれなりに販売されてXbox事業は日本だけでなくワールドワイドでみても相当苦戦しています。
VGChartzではワールドワイドのハードウェアの出荷台数の集計をとっています。
2018年4月28日のワールドワイドの出荷では同時期に発売開始されたPS4に倍以上の差が出ています。
EAをマイクロソフトが買収するのでないかという噂が出たのもポジティブな理由ではなく、魅力的な独占ゲームが出せないからというネガティブな情報がもとになっています。
The Xbox One has a serious exclusive games problem – Polygon
私はマイクロソフトの人間ではないですが、想像するにどうすれば多くの人に手に取ってもらえるようになるか相当悩んでいるのではないかと思います。
また、事業を手放すという話が出るのはアナリストから見てマイクロソフトが有効な手段をとることが難しいと思っているからでないかと思います。
ポジティブに考えてみると
私もXbox Oneを持っていますが、ハードウェア単体やシステムの出来をみるとPS4と比較しても悪いとは思えません。もちろん一長一短があり、どちらが一方的にいいとは思いませんがハードウェア単体でそれほど大きな差があるとは思えません。
Xbox Oneのリリース後の失速はKinectを標準デバイスにしたのでPS4に比べて割高に見えること、あとPS4のほうがパフォーマンスが高いと思われたことで勢いが最初のうちにそがれたことが大きいと思います。コンシューマー最強と言われたXbox One Xがリリースされたことで状況はちょっとは変わるかもと思う人も多かったと思いますが、それだけでは状況が変わることは難しいと思います。
ビジネス環境を変えるためにはまずXbox Oneの強みを整理する必要があると思います。
Xbox Oneの強み
パフォーマンス
2013年の末にリリースされたPS4とXbox OneではPS4のほうがパフォーマンスが上だといわれていましたが、PS4 Proと比較してXbox One Xのほうが圧倒的なパフォーマンスがあるといわれています。
標準的な機種であるXbox One SもPS4と比較しても大幅に劣っているということはないですし、Ultra HD Blu-Rayと4Kストリーミングが堪能できるので総合的には上ということができます。
後方互換
PS4は残念ながら全く後方互換の機能をそろえていません。私がPS2/ PS3を手放せないのも単純にPS4で後方互換の機能がないからです。PSシリーズを全部遊ぼうと思えばPS2/ PS3/ PS4がいるようになります。少なくても僕は当面PS3を手放すことはできませんしPS2も故障しないように毎日祈ってます。
Xbox Oneはすべてのゲームではないですが、ある特定のゲームの後方互換をXbox 360/ 無印 Xboxに対しても有しています。またXbox One Xで遊ぶとアップスケーリングも4Kに合わせてしてくれます。
懸念点としては、対応ゲームはマイクロソフトが用意してくれるものからの対応になるので全部遊びたければXbox/ Xbox 360/ Xbox Oneを用意する必要がありますが、それでも多くのゲームは遊べるので多くの人は楽しみだろうと思います。
Windows Anywhere
Xbox One用のソフトでファーストのものであればWindows 10で追加料金なしで動作させることができます。ソフトによってはPCとXboxでオンライン遊べるので家庭内で複数の人が遊ぶことが可能になります。
これはOSを作っている会社の強みでないかと思います。
サブスクリプションサービス
Xbox OneではEA AccessとGame Passが利用できます。日本では6月にもゲームパスが利用できるようなので定額で多くのゲームが遊べる環境をそろえることができます。またゲームパスではファーストのゲームはリリース時から遊べるようになるのも魅力の一つがだと思います。
一方PS4では後方互換がないせいもあってPS Nowと呼ばれるクラウドサービスを展開しています。ただ仕組みを考えるとすべてのゲームが快適に遊べるわけではなくインターネット環境に相当左右されるので安定性は大きく欠けると思います。
PS4のリモートプレーで検証した結果LAN内でも難しさを感じるゲームがあるので普及は難しいと思います。
あとGame Passが日本ではいくらになるかわかりませんが月10ドルでPS Nowが月2,500円はあまりにも高すぎると思います。
コントローラー
PS4のコントローラーはタッチパネル、LED、傾きセンサーがありますが、Xbox One のコントローラーはコントローラー機能に徹しているため同価格帯ですがその分本来のコントローラーの出来は全然いいと思います。
足らないものは何だろう
上の項目で説明した通り、ゲーム機としては決してXbox OneはPS4に劣っているわけでないと思います。おそらくワールドワイドで売れていないのはPS4と比較しての期待度の違いが大きいのでないのかと思います。
端的に言えば、ファーストゲームなどの独占ゲームはPS4に多く、ユーザー数もPS4のほうが多いのでオンラインする友達が多いのでPS4を選ぶといった循環になると思います。
マイクロソフトがXboxを手放すユーザー側のメリット
マイクロソフトがXbox事業を手放すメリットについてはユーザー側である私が語る問題ではないと思います。
そこでここではユーザー側のメリットって何だろうと考えてみます。
世界の有料メーカーであるマイクロソフトがXboxを手放すことについては不安を感じる方も多いと思いますが、マイクロソフトは巨大すぎるので思ったことをそのままできないといった足かせもあったかと思います。
まずは他のプラットフォーマーとの連携について考察したいと思います。
プラットフォーマーとの連携
ソニー
私はソニーとの連携が一番ないと思っています。理由は製品が似すぎているので一緒におこなうメリットが少ないし、独占禁止法に引っかかるとは思わないけど、ユーザーにとってはメリットが、双方のプラットドームでのオンラインクロスプレーぐらいしか思いつかないです。
それでもよく考えたらいわゆるゲーム機の宗教戦争が終わるので業界としてはいいことなのかもしれません。
任天堂
ユーザーとしては任天堂と組むのは悪くない選択肢だと思います。任天堂は4K対応のハイスペックなゲーム機はなく、Xboxにはいわゆる携帯機がないので例えばスイッチでHaloが遊べたり、Xbox に任天堂のゲームがリリースされればXbox側のメリットは大きいかなと思います。
書きながら気が付きましたが、任天堂のメリットがよくわからないのでこれは実現は難しいなと思います。
Steam
Steamは主にWindows PC用にオンラインでゲームを販売している会社で、Windows storeよりも利用者が多いと思います。
したがって、Steam で既に購入したゲームがXboxで割引価格で購入できたり、逆にXboxで購入していたゲームもSteamで安く購入できたり、新たなゲームを購入するときはWindows AnywhereのようにXboxでもWindowsでも遊べるようになるとユーザー側のメリットは大きいと思います。
Xboxユーザーからすると遊べるゲームは大幅に多くなりそうでメリットは大きそうです。
Steam Machineは成功したとは言えず、Steamがコンシューマーに参入し、Xbox oneやWindows Anywhereに多くのゲームが参画する可能性があればもしかするとベンダー側にもメリットがある組み合わせなのかなと思います。
サムソンなどのモバイルフォンの会社
ゲーム機の買収の時に、時折サムソンのような会社を聞きますが、単純に勢いがあるから名前がでてくるというような気がします。
ただし、ゲーム機を持つユーザーとしてのメリットについてはよくわからないのは、このような会社はゲームに限らずソフトウェアの販売に意欲があるとは思えないからです。
大規模ゲーム会社
日本だとスクエアエニックスやカプコン、海外だとテンセントや噂にも出たEAなど、何かしらの協業があると面白いなと思います。
人気が落ちたとは言え例えばファイナルファンタジーシリーズが独占ゲームになったらそれなりにXbox Oneも売れるだろうと思うし、それ以外のゲームもファーストの位置に来ればXboxを購入するメリットになります。
ただこれだとXbox 側にメリットがありますが、他のプラットフォームへの売り上げがなくなるわけで非常にむずかしいと思います。
最後に
一番頭にも書きましたが、個人的にはマイクロソフトがXbox 事業を手放すという判断はしないのでないかと思います。理由はそのことによるメリットがよくわからないからです。
PS3が不調の時も事業売却のうわさはあったかと思います。ソニーはあのころゲーム以外でも苦戦していましたが、なぜか処分されませんでした。ふと思いましたが、売ろうにも売却先がなかなか見つからなかったという単純な理由なのではないでしょうか?
このブログでは実際に手放したらどのようなことが起きるだろうということを想像して書いたものです。大巨人マイクロソフト配下でもなかなか苦戦しているのでスピンオフしたあとはだれかと組まないといけないという私の固定観念でいろいろ考えてきましたが、足かせがなくなるだけでよくなると判断すれば私が考察したことは全く起きず独自で頑張るという方法もあるかと思います。
また、いろいろ考察をしてきましたが、ユーザー側の利点はいろいろありますが、果たして企業側にメリットがあるかと考えるとなかなか難しい問題じゃないかと思います。
どのような決断をするかは私はわかりませんが、Xboxは物がいいのに停滞していることは間違いがないのでそれを打破するために何ができるかよく考えて行動してほしいと思います。
また、PSについては後方互換の考えかたや、サブスクリプションサービスの考え方には不満に思っているのですが、Xbox Oneが盛り返してくれば、もしかするとそのあたりの見直しもあると思うので、その点からも頑張ってほしいと思います。
コメント